2016年7月28日木曜日

トップが説く「英語力と専門性」の必要性 外資と言えども日本IBMは顧客のおかげで国際化した



----日経ビジネスOnlineより引用-------

今回は日本で活動する外資系企業トップの代表として、日本アイ・ビー・エム(IBM)の最高顧問の北城恪太郎さんにIBMでの英語公用語化、北城さんの英語勉強法、そしてグローバル人教育というテーマでお話を伺った。

その頃でも上位の管理職として仕事をするようになると、必然的に本社や海外とのコミュニケーションが多くなり、英語での会話力が必要とされた。従って、将来幹部になる可能性のある社員は、若い頃から英会話の勉強をしていた。

 状況が変わったのは、北城さんが社長を退任した99年頃。

 それ以降は、海外との交流が一層多くなり、管理職に登用する際に最低限の英語力を求めるようになった。日本企業のグローバル化にともない、日本企業の海外進出先でのシステムを海外のオフィスと連携して構築しなければならない。そういう状況では一般のスタッフレベルでもIBMの海外のスタッフと英語で仕事をしなければならなくなったからだ。

北城さんは「英語は公用語ではありません」と話されたが、英語ができないと仕事に差し障ることは明らかである。公用語ではないが、必要な時に英語を使うというシステムが暗黙の了解となっている。1人でも日本語ができない人がいると英語を話すということだ。当然ながら、参加者が日本人だけならば日本語で会議を行う。海外の社員が参加する会議では、資料は英語で用意するか、あるいは、日本語と英語の資料を準備する。海外のIBM社員と会議をする際には自然に英語が公用語となる。

北城さんが社長を務めたIBMアジア・パシフィックでは、日本人の経営陣が少なかった。オーストラリアや中国の出身者が多い。その違いは英語力の違いだという。中国人やインド人は、英語を仕事のひとつの技術として身につけようという姿勢がある。「国際的な舞台でリーダーシップをとっていくには、英語を話し、自己主張することが最低限必要です」。IBMのような外資系の企業で鍛えられている人でさえも「会議で日本人は積極的に意見を言わない。きちんとした考えやそれを裏付ける実績を持っているにもかかわらず、自己主張が弱い」と、北城氏は指摘する。

2番目の話題としてグローバルに活躍している北城さんにどのようにして英語力を身につけたのか、ご自身の英語学習法についてお聞きした。北城さんは慶応義塾中等部、慶応高校、慶応大学に進まれたが、その間留学などはしていない。

 高校3年間の間受験勉強をしなくてよかったので、高校生の時クラブ活動、授業以外は、英語漬けの生活を送ったという。慶応中等部を卒業する時に、担任の先生から「他の成績はいいのに英語の成績がいまひとつ」と指摘されて、負けず嫌いの北城さんは「テレビ、ラジオ。津田スクールオブビジネスなどの英会話学校。本、テープ」などの様々な勉強を試したが、外人と話せるようになって英語の面白さが分かったそうだ。

 日本IBMに入社し、通算3回、米国に滞在した。高校時代に養った英語力が幸いして、社内試験に受かり米カリフォルニア大学大学院(バークレー校)に26歳で留学した。その時は英語では苦労しなかったということだが、「工学部で数式ばかりであまり話す必要はなかったのも一因」と北城さんは謙遜する。

 その後、米国法人に移り、スタッフの一員として電力、ガスを担当。この時にはスラング(俗語)やアメリカ人へのプレゼンなどにも苦労した。 ただこの頃に、「英語について何でも聞いていい」と言ってくれた現地の同僚がいた。こうしたサポートによって北城さんは、一段と英語力がついたという。

 とはいえ、こんな苦労話もある。

 言葉にハンディキャップがあるので、議論が進むとなかなか発言できない。 そこで会議の冒頭で自分の意見を発言することにした。そして分からないことについては、常に質問した。「分からない」と言えば説明してくれるが、何も言わないと「分かっている」と思われて、話がどんどん進んでしまうからだ。

 その後、1年間にわたり米国IBMの会長室の補佐として働く機会があった。そこでは将来の経営者として、ダイレクトな表現ではなく、心がこもった文章を書くという訓練も受けた。トップのそばで経営を学ぶという幹部養成コースで、英語の勉強は続いた。米国人が書いた「文法的には正しいがニュアンスに欠ける」英語の書類を直すということまで北城さんの任務となった。

 しかし、英語のうまさだけでは相手は説得できない。熱意がないと相手を説得できない。その例として以下のような話をしてくれた。

 IBMには1台買っても1000台買っても割引しないという世界で統一のルールがあった。ある時、日本で銀行のオンライン化という大プロジェクトが始まり、値引きをしないと競争相手に勝てないことが見えてきた。日本国内だけで決められる問題ではないので、米本社を説得しなければならない。説得のために米国に出向き、日本の競争環境などを本社の経営陣にプレゼンをした。 IBMのトップに熱意を込めて説得を続けた北城さんに、米本社側の経営陣の1人は「命を賭けている彼にやらせてあげろよ」と応援してくれた。「命は賭けていないけど、仕事人生を賭けている」と北城さんは答え、最終的には世界的なルールは変更されたという。

From 日経ビジネスオンライン
URL : http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110527/220276/

 

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