「日本生まれ日本育ちです」というと必ず「なんで英語しゃべれるの?」と聞かれます。実は自分でもちゃんと考えたことがないので、「勉強した」以外になんと答えればいいかわからず、いつも適当に答えてきました。
私の母は留学経験があり英語がペラペラで、英語の先生でもありますが、若い時私が反抗的だったため(笑)母から習ったことはないし、母とは常に日本語で会話しています。
バイリンガルニュースを始めて、英語を話せる理由を聞かれる機会がさらに増えたので、今回人生初、自分の英語習得の歴史を振り返ると同時に、ここでさらけ出すことにします。現在英語勉強中の方の参考になれば幸いです。
まずは時系列で簡単に振り返ります。
【幼少期】
父が出張先のアメリカで買ってくるディズニーのビデオ・絵本・CDに囲まれて育つ。ディズニーのCDを聞いて、意味はわからないけど見よう見まねの英語で歌う。
【小学校低学年】
アメリカで生まれ育った年上のいとこがちょうど日本の大学に通っていたので、週に1回うちに来てもらって本を音読する練習。小さい子用の絵本から始めて、『エルマーのぼうけん』とか『おさるのジョージ』とか。
【小学校高学年】
5年生ぐらいから洋楽にはまる。その頃アメリカはアイドルブームまっただ中だったので、ブリトニーやバックストリートボーイズなど、恥ずかしげもなく王道を聞いて、一緒に歌う。
歌の内容がどうしても気になるので、歌詞カードはチェック。でも知らない単語を全部調べるのはめんどくさいし嫌になっちゃうから、そこは適当に。
【中学校】
学校が英語の授業に力を入れていて、教科書も巷の評価が高い『Progress In English』だった。
テストでは教科書の中身が抜粋されるので、教科書に出てくるフレーズ、単語、物語を丸暗記すれば、いい点が取れる。けどいきなり丸暗記は無理。
というわけで、テスト対策の勉強法として、
①教科書に出てくる例文や物語を、全部一度和訳。
②その和訳ノートを見ながら、即座にそれを英語で「口に出して言う」練習(原文とちゃんと合ってるかもチェック)。
③同じ箇所を何度も練習することで、嫌でも覚えちゃう。
※注意点:この勉強法はいい面もありますが、反面、のちに会話力の妨げになる可能性が高いので注意です。会話において「訳す」という行為は邪魔以外のなにものでもないので。
この頃、実際に英語を使う機会は、年に一度親戚を訪ねて行くハワイでのみ。言われてることはわかるけど、いざ返事しようとするとなかなかパッとは出てこない状態。
【高校】
中高一貫校だったので、中学の時の丸暗記勉強法を継続。
あとは話すのに慣れさえすれば! と思って、ニュージーランドに2週間ホームステイしてみたり、マンツーマンで英会話習ったり。その間も洋ドラマみたり洋楽聞いたり、ティーン雑誌を読んだりは欠かさず。
そして受験。私が行った大学の学部は、授業が全て英語で行われ、単位制度等もアメリカの大学の形式をとっていて、受かるには、TOEFLとSAT(アメリカのセンター試験みたいなもの。科目は国語と数学)で十分なスコアを取り、英語で論文を提出する必要があった。
SATは、そもそも英語を母国語としている人を苦しめるためのもの。日本人の私には結構苦しかった。さらに同じ学部を受験するほかの人たちは、英語が母国語だったりハーフだったり帰国子女だったり。ここで負けず嫌いな私の心に火が! 単語はもう丸暗記して、読解問題の文章をひたすら読みまくる。単語数が一気にアップ。
(大学以降は自分の努力というよりも、授業も日常会話もすべて英語という環境要因が大きいので省きます)
自分で振り返って分析すると、気づいたことが3点。
①幼少期からずっと一貫しているのは「声に出している」ということ。
歌でも本でも、訳す時も、声に出すことで、まず口が慣れる。またそうした正しい文章を、自分の声を通して何度も何度も聞くことで、頭に定着させる。
これにより「He play basketball」と間違えた文章を見た時に、文法がどうのこうの頭で考えるより先に、即座に違和感を感じるようになる。テスト中もちょっとぶつぶつ口に出せば、理由は説明できずとも「これは変だな」とか「これは言わないな」と感覚的にわかるようになる。
歌を歌うのは本当に役に立った。例えば「I’m thinking about the times that we’ve been through」とか「If only you were here tonight, I know that we could make it right」というブリトニーの歌詞。意外と文法的に役立つ表現がこれでもか、と盛りだくさん! これを構文として丸暗記しろと言われたらきついけど、歌詞なら歌っていれば自然に覚えるし、この文章を応用してほかの文章も作れる。
声に出さずに言語を習得しようとするのは、教本を読むだけでサッカーを習得しようとするのと同じことです。スポーツに置き換えると急に当たり前に感じるけど。
②5大項目「聞く」「読む」「仕組みとして文法を理解」「話す」「単語を増やす」
時系列を見ると、意外とこれをまんべんなくカバーしてた。単語を増やしたら実際に使ってみる、聞いた歌詞を歌って口に出す、とか、各要素をバラバラのまま放置せずに組み合わせて実用化させるのが大切なのかも。
「文法」と言うと難しく聞こえるけど、要は「ただの話すときのルール」です。私は「副詞」とか「助動詞」とかの文法用語は大嫌いで、全部無視してました。日本語の文法用語だって全く知らずに、2歳の時からしゃべってるんだから、英語も文法用語なしで平気なはず、という理屈(笑)。
また発音を大人になってから直すのははっきり言って至難の業だけど、「他人と英語で会話する」こと自体は、経験上、後追いでもあまり問題ないと思う。日本の英語教育において「話す」が先に来る方が珍しいし。
ちなみにマンツーマン英会話について。私は高校生のときGabaに通って、大学生のときにGabaで先生として働いてました。外国人とのマンツーマン英会話は、ある程度すでに文法を理解して、単語やフレーズも頭に入っている状態で、最終的に「話すのに慣れる」という意味で通うと、かなり効果を発揮すると思います。
そこに到達する前に通うのは、はっきり言って費用対効果が低い。よくいるのは、文法や単語が頭にあまり入っていない状態でいきなり外国人とのマンツーマンを始めて、先生がペラペラ話すのをただ聞いてるだけのケース。これで何十万円も払って何年も通い、全然上達していない人、たくさんいました。ただ相手が話すのを聞くだけなら、無料でネットでいくらでも聞けます。お金がもったいない!
繰り返しますが、マンツーマン英会話教室で得られるのは「話すのに慣れる」ことです。文法の説明をしてもらったり、昔習ったけど忘れちゃった文法をおさらいするために使うのは難しいです。なぜなら、英語を母国語としていて、日本人に英文法をきちんと説明できる人はかなり珍しいからです。平均的な日本人が日本語の文法を外国人に説明できないのと同じです。そういう技術がある人は、文法を教えるクラスがある英語学校でフルタイムで働けるので、わざわざ誰でもできてバイトだらけのマンツーマン英会話教室では働きません。
③継続すること。
時系列を見ると、何年もずっと継続して英語に触れている。ちょっとやって何ヶ月か放置して、またちょっとやって、だとやっぱり上達しないと思う(私のポルトガル語がまさにその状態……)。これもスポーツに置き換えればわかりやすいけど。
また、ある程度楽しくないと続かないのは当たり前なので、つまらない上に効率が悪い勉強法を無理やり続けて英語を嫌いにならないことも大切。よく英語の難しい本を買ってきて、一語一句辞書で調べながら読んでいる人がいますが、私には絶対に無理です(笑)。
また「楽しいものは勉強につながらない」と言う人も多いですが、言語に関してはそんなことはないと思います。
実際私が高校生のときに読んでたティーン雑誌も、今振り返れば相当(ほんとに相当!)くだらなかったけど、生きた英語が使われているし、海外のティーン文化にも触れられたし、なにしろ勉強嫌いな高校生の私が自らすすんで読んでいたわけで、教材として意味はあったと感じます。
英語の勉強で行き詰まっている方やどうしても自信が持てない方には、バイリンガルニュースに言語学の権威、吉田研作先生がゲストで来て下さった回(#68エピソード、2014年2月24日回)をぜひお薦めします。無料です。すごくおもしろいし勇気が出ます!
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