2016年7月2日土曜日

4言語を操るディーン・フジオカさん "子供の頃好きだった洋画や洋楽が、外国語に興味を持った原点。米国留学を機に、海外に飛び立ちました"



英語のみならず、北京語、広東語も駆使する俳優のディーン・フジオカさん。4月まで放送されたNHK連続テレビ小説「あさが来た」では五代友厚役を熱演、作中で度々披露される「美しい発音の英語のセリフ」も話題になった。どのように英語を習得したのかを伺った。
Q.英語、北京語、広東語と複数の言語に堪能です。これだけの語学を習得されたことに驚きました。
A.子供の頃好きだった洋画や洋楽が、外国語に興味を持った原点。米国留学を機に、海外に飛び立ちました。
日本の高校を卒業後、米国に留学したのが、海外に出る第一歩でした。その留学も、きっかけをたどると、花粉症です(笑)。長年悩まされていたので、とにかく「花粉のない所に行かなくては」と(編集部注:スギ花粉症は日本特有)。

 とはいえもちろん、行き先はどこでもいいわけではない。やはり、英語圏の国に行きたいなと。というのも、子供の頃から一番慣れ親しんでいた外国語が、英語だったからです。

 特に引きつけられたのは、洋画のレーザーディスクや洋楽CD。「オズの魔法使」といった往年のミュージカルや、マイケル・ジャクソンの「スリラー」――。父が仕事でよく海外に行っていたので、その都度、お土産を買ってきてくれたんです。字幕や和訳がなかったので細かい内容は分からなかったけれど、海外の雰囲気を感じるのが楽しくて。自然と英語の発音にも慣れました。次第に「登場人物は何を話しているんだろう?」「この歌の意味は何?」と、英語に興味を抱くようになったんです。

 その後も、父が家庭教師のように英語を教えてくれたので、日常生活で英語に接する機会は多かったと思います。だから日本を脱出するなら英語圏の国へ。そう思って、米国留学を決めました。

 実は留学してからも、「スピーキングを強化する」といった戦略的な語学学習はほとんどしていません。大学のクラスで学んだディベート(討論)のやり方やエッセイの書き方は大切な技術ですし、得たことも多かった。でもそれよりも、「好きなことを見つけて、それに熱中すること」が、英語を学ぶ一番の近道だと思います。

 当時ヒットしていた英国の「スナッチ」という映画のかっこいいセリフを真似て、大学の友人と笑い合ったり、流行の音楽の歌真似などもしていました。英語を聞き流していた子供の頃とは違って、口に出して真似するうちに、英語の発音を体に覚え込ませることができたと思います。 

 英語のポエム(詩)も、よく読みます。ポエムは韻を踏んでいる作品が多く、朗読すれば、英語独特のリズムを覚えられます。T. S.エリオットの「ラブソング・オブ・J・アルフレッド・プルーフロック(J・アルフレッド・プルーフロックの恋歌)」(下記参照)は、好きな詩の1つです。でもどちらも「好きなことに熱中していた」だけで、「英語を勉強した」感覚はなかったですね。

どんな言語を勉強する際も、「言葉を理解できるようになったら何をしたいか」に重点を置くといいと思います。「英語を上達させる」ことだけが目標だと、語学を学ぶことがつらい作業になってしまう。それでは長続きしませんよね。
 私の場合は、「洋画の登場人物のセリフや、洋楽の詩の意味を理解したい」と思ったことがきっかけでしたが、「海外のファッションに詳しくなりたい」「海外の文学を読んでみたい」など、パッションを持てることなら何でもいいと思う。すると「語学を勉強している」のではなく、「自分の好きなことに熱中している」ことになり、言葉もどんどん上達していくはずです。

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